製造プロセス

数百種のチーズは、まず使用される乳の性質と製造技術によって区別される。しかし、製造工程は同じである。

牛乳は複雑である。3つの主要な成分は大量の水分の中に、乳濁脂質、懸濁タンパク質、溶解糖分という異なった状態で存在しており、この状態のバランスは壊れやすい。チーズの製造に必要な様々な工程を初めて書式で表したのは、ローマの農学者 コルメッレで、西暦60年のことであった。それ以降ほぼ変わらぬチーズ製造の基本原理は、牛乳の凝固、ホエー除去、加塩、乾燥で、創造性とノウハウを駆使して微妙なバリエーションを生み、テクスチャ、味、香りを変えたのである。

チーズの製造段階

搾乳

授乳期間の間、搾乳は1日2回決まった時間に毎日行われ、つまり1頭の牛は年に610回の搾乳を受ける。乳で膨張した乳房を楽にするため、牛は喜んで搾乳される。

1915年に搾乳機が導入されるまでは、手による搾乳が一般的に行わていた。搾乳機の導入によって人間の労働が軽減され、衛生環境が著しく改善された。

凝固

凝固は、チーズ製造に不可欠な工程の一つである。 その目的は、レンネット(牛の胃由来の酵素)の作用及び乳酸発酵によって乳を凝固させることである。乳酸発酵の量は、製造したいチーズの種類に応じて変わることがある。

型詰

凝固工程の後に、カードと呼ばれるものが得られ、製造したいチーズの種類に応じた様々な型に入れられる。

ホエー除去

次の工程は、カードのホエー除去で、凝乳と乳清を分離する。これによって、保存期間が伸びる。フレッシュチーズやフロマージュ・ブランは、この工程の後食べることができる。

加塩

その他のチーズの場合は、最終製品に至るまでの行程がいくつか残っている。できあがったフレッシュチーズは型から外して、細かい塩または飽和食塩水に浸して加塩される。加塩することによってチーズに、防腐、保存、味つけという3つの作用が直接働く。

熟成

チーズ製造における最終工程は熟成である。熟成期間は、チーズの種類によって数日間から数ヶ月である。チーズは熟成庫と呼ばれる場所で、温度と湿度を調整する熟練したチーズ職人の管理のもとで熟成つまり発酵する。 熟成はチーズ製造の複雑な段階で、ノウハウと忍耐を必要とする。

発酵、味と触感

様々な乳製品を製造するために、人間は乳の成分が分離するという自然の性質を利用することに成功した。脂質を集めてバターを誕生させ、チーズを製造するために牛乳のタンパク質が凝固し、カードができるのを待った。

凝固の工程の間、乳に生息する乳酸菌はその栄養源である乳糖から発酵によって乳酸を作り出す。存在するタンパク質が、寄り集まってカードができる。凝固をうまく制御するには、発酵乳、或いは自然界で孤立した複数種の乳酸菌の混合物である酵母を入れる。

確かにチーズの製造は、微生物の活動に大きく依存している。加塩工程の後に行う熟成は、カードをチーズに変化させるのに不可欠な微生物の活動を活発にすることである。周囲の温度、湿度、塩分含有量を変化させることで、これらの微生物の生活条件を調節することが可能である。

細菌、酵母、カビといった、味の「自然の職人」の仕事によって、チーズの色やテクスチャの変化がもたらされる。こうしてチーズ内部または表面に、芳香と風味が生まれる。

 

チーズの変化に役割を果たすもの:

自然酵母

自然酵母

牛乳を加工して乳製品を製造するために、人間は常に生物の力に頼ってきた。以前はチーズ職人が経験に基づいて、手による搾乳がもたらす、或いは木の道具や貯蔵庫など周囲の環境に自然と生息する微生物を使用してきた。
産業用酵母

産業用酵母

今日、乳製品メーカーは、特性が完全にわかっている酵素を選んで使用する。これによって、製造の品質と均質性を管理することができる。
乳酸菌

乳酸菌

乳酸菌も熟成の際にカードをチーズに変化させるのに一役買っている。主要な菌は、乳酸菌、乳酸球菌や連鎖球菌である。
酵母菌

酵母菌

乳酸を使用することで、酵母菌はカードの酸味を抑える。このようにして酵母菌は、熟成中に他の微生物が発育しやすいように「地ならし」をする。酵母菌が、外皮形成と芳香生成に貢献しているチーズもある。
カビ

カビ

カビは多くのチーズの熟成に不可欠である。カビが、軟質タイプのチーズや非加熱圧搾チーズの外皮やフェルト様外皮を形成する。青カビチーズに特有の青いパセリ状の模様も形成する。